13.成形品の離型不良



熱可塑性樹脂の成形品は、金型が開いたとき可動金型にくっついてくるようにし、エジェクターピンあるいはエジェクタープレートなどにより適当な位置で離型される。

もし金型が悪いと固定金型に残ったり、可動金型にくっついて離型のときにエジェクターピンが成形品を突き破ったり、割ったりする。

HIスチロール樹脂やABS樹脂などでは、離型のときもっとも力の加わる個所に白色の線や点を生じる。これほゴム含有樹脂の成形品を曲げたときに、その部分が白色を呈するのと同様で、微細なクレージングがきわめて高密度に生じているのである。


(1)
キャビティ内に材料が充填されるとき、圧力が高すぎるとひずみが強く残り、均一に収縮せず部分的に強く起こるので、離型しにくくなる。

射出圧力、材料温度および金型温度を下げ、キャビティ内圧が低くなるようにすればよい。


(2)
排気空隙のできるように金型を設計するとともに、金型をよく研磨し、またエジェクターピンのくぼみを正確に仕上げたり、アンダーカットや細かい凹凸をできるだけ少なくするなど、離型工程が正しく行われる手段を講じておかなければならない。

これでも張り付きが起こりやすいときには、作業者は各成形サイクルごとに金型面に離型剤を用いるとよい。

シリコン系離型剤を多用すると。万年筆のような奥行の深い成形品の場合は排気が十分行われずに、各成形サイクルごとに金型面にその蒸気が環状に凝縮して付着するので注意を要する。



(3)
金型温度を調節すると、金型への張り付きを防ぐのに相当効果がある。

成形品を冷却して収縮させ、固定金型から離型を円滑にするのが繰作上の原則であるが、収縮しすぎると可動金型からの離型が悪くなるので、最適の金型温度を保つようにしなければならない。


(4)
成形品は開型したとき、収縮して可動金型にくっついて行くようになっているが、固定金型側に残って正常の離型作動ができないことがある。

これほ射出圧力でキャビティ(通常は固定金型側)が若干開き、スクリューが後退したとき、元に戻るために成形品の周囲から強力な圧力が加わるのが原因で(図13・1)、極端な場合には全く開型しないことさえある。

このような場合にほ、図13・2のように金型自身の変形(この場合は外側に開く)を防ぐように改造しなければならない。



もちろん最初から十分の強度がある材質の金型ならば問題はない。




(5)
金型の一部が射出時に変形して成形品が離型時に破損することがある(図13・3)。

このような場合も前記のように金型を改造するか、図13・4のように設計すればよい。




(6)
深い容器の場合、離時にコアー側が真空状態となり、低部が割れることがある。

このようなときにはエジェクターピンから空気が入りやすくしたり、突出し時に内面に空気が入るようにするとよい(図3・5)





1.ショートショット(充填不足)

2.ば り

3.成形品面の“ひけ”

4.気 泡

5.フローマーク(波紋)

6.シルバーストリーク(銀条)

7.表面のくもり

8.ウェルドライン(融合線)

9.ブラックストリーク(黒条)および焼け

10.クレイジング

11.ジェッティング

12.反りおよび変形

13.成形品の離型不良

14.スプルーの離型不良および切断

15.材料の食込み不良

16.その他の不良


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