気泡とは、一般に厚肉の射出成形品(たとえばブラシや工具の柄など)の内部の空隙の総称である。
この現象ほキャビティから離型するときか、離型後放冷した後に現われる。
これは不透明品では外観には影響がないが、物性的欠陥として問題になる。
これを除去するには高能率生産の場合、作業条件を調整しなければならないことが多い。
厚肉個所の中心部はもっとも冷却が遅れるので収縮も遅れ、速く冷えて収縮の速く起る金型内壁面の方向に材料が移動する。
その結果、材料の収縮量だけ充填量が不足するが、厚肉個所は収縮量がもっとも大きく冷却も遅いので、全収縮量がその中心部に集中し、空隙(実は真空)を生じる(写真5)。
成形中に混入したガスが抜け切れずに空隙となる場合もある。
(1)
成形品の厚肉部に圧力が有効に働くように、ゲートおよびランナーをまず広げなくてほならない。
また当然、冷却期間中十分に射出圧力を維持しなければならないので、成形サイクルは通常長くなる。
この方法によると、収縮しただけ材料が補われる。全体が厚肉の成形品の場合には、タブゲートを採用するとよい。
(2)
射出ストロークや成形温度など成形機の調整装置を調節しても、空隙をなくすのに大した効果はない。
しかし射出圧力は、材料収縮をできるだけ少なくするために、許す限り高くしなければならない。
(3)
水分が大きな原因となることがある。通常、空隙は中心部に現われるが、そうでない場合、
水分が原因となっていることがある。
成形前に材料を加熱乾燥し水分を除いておくとよい。
(4)
成形品に急激な肉厚変化があると各部の冷却速度が異なるので、遅れる個所に気泡を生じる。
このような設計はできるだけ避けねばならない。
肉厚変動部の表面ひけと内部気泡発生機構を図4・1に示す。
内部気泡は冷却速度の速い場合に生じやすい。
(5)
停滞空気があって気泡を生じることがある。
空気が材料の流動末端で排出されない場合には、ウェルドラインの末端に生じ、その部分は通常黒く焼けている(図8・1参照)。
空気の停滞部から排出される途中で、充填完了した場合に材料の流線に沿って気泡を生じることがある。
1.ショートショット(充填不足)2.ば り3.成形品面の“ひけ”4.気 泡5.フローマーク(波紋)6.シルバーストリーク(銀条)7.表面のくもり8.ウェルドライン(融合線)9.ブラックストリーク(黒条)および焼け10.クレイジング11.ジェッティング12.反りおよび変形13.成形品の離型不良14.スプルーの離型不良および切断15.材料の食込み不良16.その他の不良
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