6.シルバーストリーク(銀条)



材料の流動方向に銀白色の条痕の現れる現象である。

キャビティに材料が流入中に何らかの条件下で金型面に固化した薄層を生じ、これが材料流動により剥離するのが原因である。

この現象は次に述べるように多くの発生源がある。

さらにこれらの不良条件が重複して、その累積効果として発生することも少なくないので、原因探求には十分留意しておかねばならない。


(1)

材料中に水分または他の揮発分があると表面にシルバーストリークを生ずる可能性が非常に多い。

水分を除去するには材料を加熱し、温度の高くなったく浮きを追い出し、その中の水分を冷却凝縮させ、空気は循環させるのがもっともよい。実際には成形作業を考慮して適当な加熱方法を採るようにすればよい。

またホッパーローダーに熱風を送るのも良い方法である。

成形前に適当に乾燥を行うと、成形品の表面は明らかに良くなる。

主要熱可塑性樹脂の吸湿性と予備乾燥条件を表6・1 掲げておく。


(2)

材料がキャビティ内で固化するときに、わずかの揮発、水分も扱けきれないと、材料が金型面に密着しないし、温度および圧力が低下したとき再び表面に液体となって付着した状態で剪断カが働くので、その部分にシルバーストリークを生じる。

(a)成形機の射出能力に比べ成形品が大きすぎると射出時間が長くなるのでキャビティ内の材料温度が早く低下してキャビティ内面で早く固化する結果、揮発分が抜けきれない。
とくに固化の早い耐熱性材料を使用した場合にはよく現れる。
一般に成形機の公称能力の75%以下で成形を行うとよい。

(b)材料の一部またほ全体が過熱されたときには、材料中の揮発分あるいは分解揮発物の発生が多く、キャビティ内から排出されないうちに材料が固化してシルバーストリークを生じる。
この場合のシルバーストリークは通常銀色の泡または火ぶくれ状を呈する。


(c)金型温度が低いと材料の固化が早いので(a)同様に揮発分の排出が不十分となる。
スチロール糸樹脂では品種および成形品の大きさなどにより異なるが、最高金型温度は熱変形温度より5℃低い位にする。
サイクルにより差はあるが一般には少なくとも55℃以下にはしない方がよい。


(d)キャビティ内の排気不良のときには揮発分が排出されないのでシルバーストリークの発生の原因となる。
この場合、材料流の先端部が黒く焼けてることが多い。





(3)

材料の充填中に温度低下が著しいときにには、(2)に述べた現象が発生すると同時に、キャビティ内面に接触した部分が急冷され薄層を形成するので、反射光が白色ないし銀白色を呈する。

(a)ゲートおよびランナーが過小の場合には、充填速度が遅くなるので、キャビティ内での温度低下がはなはだしくなる。
充填速度が速くなるようにゲートおよぴランナーを広げるとよい。

(b)充填時に材料が乱流状態で流入すると、流入経路は迂回するので長くなり、温度低下が大きくなることがある。
また揮発分を巻き込んでシルバーストリークを生じる可能性がある。
充填速度が材料温度に対して速すぎたり、ゲートの位置がリブなどを横断する位置にあると、このような現象が発生しやすい。
原因の所在を確実に把握して処理すれば容易に解決する。

(c)スプルーの末端あるいほランナー端にスラッグウェルがないかまたは小さいと、射出初期に冷えた材料がキャビティに流入するので、一部が早く固化し薄層を形成しやすい。
また作業開始初期も金型温度の低いことと相まってシルバーストリークが発生する。



(4)

キャビティ内で材料が狭い個所を通過して急激に広い所に流入する場合、急激に圧力が低下すると同時に温度も低下する。

このとき圧力低下による揮発分の発生によりシルバーストリークが発生する。

さらに温度低下もこの現象に拍車をかける。


(5)

金型面に潤滑剤またほ水分が付着していると充填材料の熱で気化し、材料中の揮発分と同様の作用でシルバーストリークとなる。

この場合、成形品の表面ほ一般に淡乳白色のくもりがある。


(6)

材料が粉砕スクラップのように微粒を含有していたり、気泡入りベレットの場合は揮発分を含む空気が捕捉され、たまま射出されるので、シルバーストリークを生じることがある。

可塑化までに空気の逃げ出しが容易になるように外部潤滑剤を加える。

微粒を含む場合にはふるい分けして使用するとよい。


(7)

作業の手違いなどにより異種材料が混入してシルバーストリークとなることがある。

この場合は雲母状または針状となり銀白色の光沢を呈するので、他の原因によるものとの判別は容易である。

材料取扱いの不注意、成形機のホッパーなどの掃除やパージが不十分のときには、2種あるいほそれ以上の材料が混じってしまう恐れがある。

ポリエチレンやポリプロビレンは、スチロール樹脂やABS樹脂とは相溶しない。

もし樹脂に繊維状に剥離するような条痕がかなりある場合には明らかに機械的強度が弱くなる。

もし疑わしい材料であれば(たとえば粉砕スクラップのようなもの)、塩化カルシウムなどの水溶液を用いて比重の差により不純物を浮遊させたり、あるいは沈降させたりして分離確認することができる。


(8)

スクリューの回転数が速すぎると、材料間隙の空気が十分抜けきれずに巻き込まれて射出されることがある。

この場合、成形品面に出た気泡が押しつぶされてシルバーストリークとなる


(9)

スクリュー回転による可塑化中の背圧が低い場合、(8)と同様に脱気不十分となりシルパーストリークを生じる。



1.ショートショット(充填不足)

2.ば り

3.成形品面の“ひけ”

4.気 泡

5.フローマーク(波紋)

6.シルバーストリーク(銀条)

7.表面のくもり

8.ウェルドライン(融合線)

9.ブラックストリーク(黒条)および焼け

10.クレイジング

11.ジェッティング

12.反りおよび変形

13.成形品の離型不良

14.スプルーの離型不良および切断

15.材料の食込み不良

16.その他の不良


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