ウェルドライソは成形品の材料不連続部を表わすもので、流れが2方向以上に分岐してある距離を流れた後に、再び合流する個所に生じる毛髪状の細線である(図8・1)。
この個所は材料の不連続部を形成し、機械的破損を起こしやすいので、できるだけ最小限に止めなくてはならない。
ウェルドラインは通常フローマークよりも明瞭に認められる。
材料がキャビティ内を分岐した後、再び合流する。このとき材料の表面温度が低下しており、完全に融合しないために生じる。
合流距離が長くなると、表層温度が高くなり完全に融合するので、ウェルドラインは消滅する。
表裏共ほぼ同一個所にきわめて細い線となって現れる。
一方の金型(通常可動金型)の温度が高いと、これに接触している面のウニルドラインは他方に比べ細く現われる。
(1)
材料温度を高くして粘度を低下させ射出速度を大きく採れば、ウェルドラインは少なくなる。
金型温度を高くし、キャビティ内で材料が徐冷されるようにすれば合流するときの温度が高くなり、流動背性も良いのでウェルドラインは減少する。
(2)
ゲートの位置を変更たり、ゲート数を増やしたりあるいはゲートを広げるのも、ウェルドラインを減らすのに効果がある。
この方法は金型を手直ししたために、かえって成形上大きい問題が生じることがあるので最後の手段とした方がよい。
金型の設計に当り、ウェルドラインの位置を予測し、問題のない個所に生ずるようにゲートの位置を決めなければならない。
(3)
停滞空気またほ揮発物質の存在、離型剤の多様、あるいは材料や金型内に水分があると、接合面にこれらが押されて寄ってくるので、融合不十分となりウェルドラインがきつく出る。
(4)
固化の速い材料の場合、接合面が半固状を呈したまま合流するので融合不良となる。
材料温度、金型温度および射出圧力を上げると効果がある。
(5)
もし過冷材料の溜り場をゲートからもっとも遠いウェルドラインの所に設けると、そこに冷えた材料が入って行き、成形品部には熱い材料が充填されるのでウェルドラインは減少する(図1・2)。
(6)
ウェルドライン発生部にリブを設けると、かなり減少 させることができるし、強度的にも効果がある。
(7)
着色品の場合、顔料の粒子が大きいとウェルドラインが目立つ。
メタリックやパール効果のあるものは特に著しい。外観を勘案してウェルドラインとの妥協点を求めるようにするのが、もっとも望ましい方法であろう。
1.ショートショット(充填不足)2.ば り3.成形品面の“ひけ”4.気 泡5.フローマーク(波紋)6.シルバーストリーク(銀条)7.表面のくもり8.ウェルドライン(融合線)9.ブラックストリーク(黒条)および焼け10.クレイジング11.ジェッティング12.反りおよび変形13.成形品の離型不良14.スプルーの離型不良および切断15.材料の食込み不良16.その他の不良
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